退職年金支給: 老後の生活を支える退職年金について、多くの会社員や公務員が「自分はいくらもらえるのか」と気にしながらも、制度の複雑さに途方に暮れることがある。2025年度の年金改正では、3年連続の支給額引き上げや在職老齢年金の基準見直しなど、働く高齢者にとって注目すべき変更が相次いだ。厚生年金の平均受給月額は約14万5千円とされているが、この数字は加入年数や生涯賃金によって大きく変わる。退職後の生活設計を誤らないよう、受給資格の条件と金額の仕組みをしっかり理解しておくことが、今後の老後準備において欠かせない第一歩となる。
老齢厚生年金の受給資格条件
老齢厚生年金を受け取るには、いくつかの基本的な条件を満たす必要がある。原則として65歳以上であること、そして厚生年金保険に1か月以上加入していることが求められる。国民年金と合わせた受給資格期間が合計10年以上あれば、受給権が発生する。かつては25年の加入が必要とされていたが、2017年の法改正によりこの要件が10年に短縮された。この変更により、加入期間が短かった非正規労働者や転職を繰り返した人も対象に加わった。
パートや短時間労働者の加入要件
週20時間以上勤務し、月収が8万8千円以上のパート労働者は、従業員規模に応じて厚生年金の強制加入対象となっている。育児休業中や産前産後休業中の期間も、一定条件のもとで加入期間としてカウントされる。ただし、勤務形態によっては社会保険の適用外となる場合もあり、自身の雇用契約の内容を確認することが重要だ。適格性の有無は個別の雇用状況によって異なる場合がある。
2025年度の年金支給額と計算方法
2025年度(令和7年度)の年金支給額は、物価や賃金の上昇を反映して前年度比1.9%引き上げられた。これは3年連続の増額となる。老齢厚生年金の報酬比例部分は「平均標準報酬月額 × 5.481 ÷ 1000 × 加入月数」という計算式で算出される。たとえば平均月収40万円で30年(360か月)加入した場合、厚生年金部分は月約7万円程度となり、老齢基礎年金の満額(月約6万8千円)を加算すると合計で月14万円前後になると見込まれる。ただし、実際の受給額は個人の加入履歴によって異なる。
男女別の平均受給額の差
厚生労働省の統計によると、老齢厚生年金と老齢基礎年金を合算した平均月額は男性が約17万円、女性が約10万円程度とされている。この差には、女性が育児や介護のために就業を中断しやすく、厚生年金の加入期間が男性と比べて短くなりがちという背景がある。専門家は、この格差を縮小するためにはパート就業者への社会保険適用拡大が継続して必要だと指摘している。
2025年改正で変わった在職老齢年金
2025年に成立した年金制度改正法では、働きながら年金を受け取る高齢者への支給調整基準が大きく見直された。従来は給与と年金の合計が月50万円を超えると年金が減額される仕組みだったが、2026年4月から施行される改正では、この基準が月62万円に引き上げられる。厚生労働省の試算によると、この変更により約20万人が新たに年金の全額受給対象となる見込みだ。定年後も働き続けたいと考える高齢者にとって、実質的な収入増につながる可能性がある。
改正の恩恵を受けにくい層も存在
基準額の引き上げは多くの在職受給者に恩恵をもたらすが、月収と年金の合計が62万円を大きく超える高所得の経営者層などは、改正後も年金が全額支給されないケースがある。また、保険料率の変動や勤務先の社会保険料率によっては、手取り額の計算が想定通りにならない場合もある。受給額の見通しは、日本年金機構の「ねんきんネット」や年金定期便で個別に確認することが勧められる。
繰下げ受給と老後資金の戦略
65歳が標準的な受給開始年齢だが、最長75歳まで繰り下げることで年金額を大幅に増やすことができる。繰り下げによる増額率は1か月あたり0.7%で、75歳まで繰り下げると受給額は最大84%増となる。たとえば65歳時点での月額が10万円であれば、75歳まで繰り下げると月約18万4千円に相当する水準になりうる。一方、60歳からの繰上げ受給は1か月あたり0.4%の減額が生じるため、健康状態や家計の状況を見極めた選択が求められる。
iDeCoとの併用で備える老後資金
2025年の制度改正により、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢が従来の65歳未満から70歳未満に引き上げられた。定年延長や再雇用後も掛金を拠出し続けられるため、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を補う手段として注目されている。掛金は全額所得控除の対象となり、運用益も非課税扱いとなる。ただし、iDeCoは運用実績によって受取額が変動する仕組みであり、元本が保証されるものではない点に注意が必要だ。
免責事項:本記事は公開情報をもとに作成した一般的な解説であり、特定の年金受給額や受給資格を約束・保証するものではありません。個々の状況によって受給条件や金額は異なります。詳細については、日本年金機構または最寄りの年金事務所にご相談ください。


